先にも書きましたが被害レポートの第2位を閉める神戸神奈川クリニックが入っている時点で追跡調査も被害者の把握も全くしていないのではないかと被害者の会では想定せざるを得ません。
なお、神戸神奈川クリニック以外の安心レーシックネットワーク連携施設の被害者さんも先に消費者庁に提出した被害レポートの中に入っていたことをお伝えしておきます。
先の大岡さんを始め、被害者の会でレポートを提出くださった患者様の中にはかなりの割合で複視や斜位などの両眼視機能異常を発症されている人々がおられました。特に遠視なども入っている場合、この方たちの眼精疲労は激烈なものとなり、失職されている方もいます。
そのため被害者の会でアメリカの論文を翻訳したところ、アメリカの論文で「術前に眼位異常を持っている場合に、術後にそれが増悪するケースがある」との論文をかなりの数見つけました。
下記、抜粋させていただきます。
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1、レーザー屈折矯正手術後の代償性斜視(1999年 アメリカ)
Decompensated strabismus after laser in situ
keratomileusis.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10569175
J Cataract Refract Surg. 1999 Nov;25(11):1552-3.
Schuler E, Silverberg M, Beade P, Moadel K.
概要:
我々我々は両眼にレーザーによる屈折矯正手術を行った後に非代償性の滑車神経麻痺が発生した事例を報告する。患者がモノビジョンとなった際、我々は患者の片眼の視力の低下によって複視と融像の障害が引き起こされたと信じている。同じ視力に戻すための矯正用の眼鏡が処方されたが、患者には複視を除去するためにプリズムが必要であった。
我々は、慎重なカバー/アンカバーテストとバージョン評価が屈折矯正手術の全ての患者に必要だと考えており、彼らに何らかの両眼視の問題の疑いがあればモノビジョン矯正か眼球運動の評価が必要である。
PMID:10569175[PubMed - indexed for MEDLINE]
2、屈折矯正手術での斜位の不運(2001年 アメリカ)
American orthoptic journal
http://aoj.uwpress.org/content/51/1/11.short
c 2001 Board of regents of the University of Wisconsin System,
American Orthoptic Journal,
Volume 51, 2001, ISSN 0065-955X, E-ISSN
1553-4448
Strabismus Misadventures in Refractive Surgery
Bruce A. Furr, C.O.?,Steven M. Archer, M.D. and Monte A. Del
Monte, M.D.
概要:
屈折矯正手術の手順は、今日より日常的になっています。何百万人もの人々が視覚上のニーズの解決法として手術という選択肢を取り、めがねやコンタクトから解放されています。多くの手術の後、両眼複視が報告され始めました。複視の原因として報告されているものは以下のとおりです:抑制の喪失、既に治療されていた斜視の悪化、プリズム処方のめがねをかけていたが、そのことが認識されていなかったこと、もともと両眼視が不完全であった患者での限界融像や既存のモノビジョンの代償として:などです。
屈折外科医は屈折矯正手術のために手術を希望している全ての患者に彼らの術前治療計画の一部に感覚と(外眼)筋肉の評価を入れたものを作成することをお勧めします。
3.屈折矯正のための屈折矯正手術が斜視を引き起こした例。8つの症例のレポート(2002年 イスラエル)
Refractive surgery for refractive errors which cause
strabismus. A report of 8 cases.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12171589(パブメド)
Binocul Vis Strabismus Q. 2002;17(3):187-90; discussion
191.
Nemet P, Levenger S, Nemet A.
ソース:
Sackler School of Medicine, Tel Aviv University, Kfar Sava,
Israel. pnemet@post.tau.co.it
概要
目的:
エキシマレーザー屈折矯正手術は、屈折異常を矯正するためのよく知られた手術である一方で、それらの眼鏡の使用をやめたい成人の患者で、緩和的または部分的に調節性内斜視や強度の不同視をもつ患者、外斜視を持つ患者におけるその使用が広く研究されていない。私たちは、屈折矯正手術でこれらの2つの条件を治療を経験したので報告する。
方法:レーシック手術による屈折矯正手術を施行した、安定した屈折異常の症状がある8人の成人患者の記録の事後観察。3人の患者が調節性内斜視を持っており、3人は部分調節性内斜視があり、2人の患者は近視で不同視と外斜視を持っていた。
結果:
部分的に緩和的な調節性内斜視の患者では、レーシックによる屈折矯正治療が遠視に関連する斜視のずれを補正し、また、外斜視と近視不同視患者における外斜視を修正した。
結論:
屈折矯正手術は、成人の外斜視と近視性不同視を緩和し、部分的調節性内斜視の治療に有効である。
※この論文は「屈折矯正手術後に眼位の変化を生ずることがあると言う根拠」として掲載しています。
4、屈折矯正手術後に生じる複視の原因と予防(2008年 アメリカ)
Burton J. Kushner, M.D.
+ Author Affiliations
From the Department of Ophthalmology and Visual
Sciences, University of Wisconsin, Madison, Wisconsin
Correspondence: Requests for reprints should be addressed to:
Burton J. Kushner, M.D., Dept. of Ophthalmology and Visual Sciences, Univ. of Wisconsin, 2870 University Ave., Suite 206, Madison, WI 53705; e-mail: bkushner@wisc.eduPresented as part
of a Symposium at the Joint Meeting of the American Orthoptic Council, the
American Association of Certified
概要:
背景と目的:屈折矯正手術後の斜視の代償または永続的な福祉の発生の説明、これらの合併症の異なる原因の提
示、発生リスク層別の概説、防止のためのスクリーニング技術の概説。
患者と方法:屈折矯正手術後の永続的な複視や非代償性斜視の検査と治療を受けた患者の及レビュー。
結果: 37人の患者を特定した。
合併症の原因は技術的な問題や計画に関しての判断ミスによるものであった。後者に分類されるものは、事前のプリズムの必要性の見逃し、予想不能な不当像視、外科手術によるモノビジョン、斜視患者への不適切な調節コントロールがあった。これらの結果から推奨されるスクリーニングの基準を概説した。
結論:屈折矯正手術後に代償性の斜視や永続的な複視が発生する場合がある。これらの合併症の発生は術前のリスクの識別に十分に注意することで最小化することが可能である。
5、斜視と屈折矯正手術の患者(2010年 ヨーロッパ)
http://bmctoday.net/crstodayeurope/2010/01/article.asp?f=strabismus-and-the-refractive-surgery-patient
斜視や屈折矯正手術が組み合わさることにより、経営戦略に考慮されるべき複雑な様相を呈しています。
By Saj Khan, MB, BS, FRCSED(OPHTH)
斜視専門医は、多くの場合、以前斜視の手術を受け現在屈折矯正手術を希望している患者か、以前に屈折矯正手術を受け、現在斜視手術を希望している患者のいずれかに遭遇している。慎重に評価を行えば、斜視専門医はこれらの患者がベストの視力を達成するのを助けることができる。この記事では、斜視専門医が斜視および屈折矯正手術の患者において対処しなければならないいくつかの考慮事項と問題について触れる。
屈折手術後の斜視は既存の斜位の代償障害または調節の変化新たに斜視が発生した場合、斜視手術を行う前に、2ヶ月あけて連続で測定した偏差の安定性が認められるまで少なくとも3ヶ月、可能であれば6ヶ月は待つことが重要である。
屈折矯正手術後、患者にはしばしば短期間の両眼視機能の混乱が生じる。これは斜位が斜視化する代償障害の刺激となりうる。長期間の(両眼視機能の)混乱は、サーフェス・アブレーション(フラップを作成する手術と比較した場合)、両眼手術ではない単眼ずつの手術、モノビジョン法による長期の両眼視の混乱によりこのような
症状は増加し、実施される手術の形式を決める際に考慮に入れられるべきである。
近視矯正に対する遠視
顕著な外斜位または間欠性外斜位を持つ遠視の患者は、遠視が矯正された際に失われてしまう調節コントロール要素が存在するために、屈折矯正手術後に本格的な外斜位に発展する可能性を持っている。高い輻輳調節比を有する若い近視の患者には逆の場合が起こる場合があり、屈折矯正手術後に過矯正の度合いが例え小さくとも調節性の内斜位の症状が生じることがある。しかしながら外斜位または間欠性外斜位の患者は、近視が修正されると、斜視の傾向により良いコントロールを行うための調節刺激を得る場合もある。
6、屈折矯正手術後の両眼視覚障害及び複視について(2011年 ノルウェー)
SJOVS, June 2011, Vol. 4, No. 1 ? Case Report (in English)
16
doi:10.5384/SJOVS.vol4i1p16 ? Issn: 1891-0890 Scandinavian
Journal of Optometry and Visual
Science ? Copyright c Norwegian Association of
Optometry
Gro Horgen Vikesdal1* and Kathinka Jeber2
Buskerud University College, Department of Optometry and
Visual Science,
Frogs vei 41, 3611 Kongsberg, Norway
2Oslo University Hospital, Ulleval, Department of
Opthalmology, Norway
要約 :
屈折矯正手術を受ける人が増えてきているが、手術は完璧に行われていても、必ずしも成功するわけではない。
また、術後複視について言及した報告はほとんどない。そこで、我々は、屈折矯正手術後に複視を発症した4人のケースを報告したい。4人の患者は、術後ノルウェイの病院の眼科にかかっており、全て男性であり、間欠性複視と恒常性複視が主訴である。
検査はその病院の眼科の標準的な方法で行われ、2人は内斜視と診断された。(2人は、元々、調節性内斜視の病歴があった)1人は原因不明の不安定な複視、もう1人は先天的脳神経障害と診断された。複視は術前検査で予見可能なものもある。そこで、我々は術前検査に両眼視機能と複視歴を徹底検査することを推奨する。
Introduction
屈折矯正手術は発展してきており、1990年代初頭に最初(Ang,Couper, Dirani, Vajpayee,
& Baird, 2009)の手術がノルウェイで行われから順調に広がっている。今日では、世界中の多くの眼科でこの手術は行われている。屈折矯正手術にはlasikやlasek、PRKのようないくつかの方法がある。この中でLASIKとLASEKがノルウェイで
最も行われている。世界中で、屈折矯正手術後に発症した視覚異常のうち半分以上は矯正誤差と説明付けられている。アメリカでは毎年150万人がlasik手術を受けており、これは人口の0.44%に相当する。ノルウェイでは毎年4500症例の屈折矯正手術が行われており、これは人口の0.1%に相当する。アメリカと比べると過小評価と思われるかもしれない。2006年には、世界中で800万人の人々に屈折矯正手術は行われ、疑いの余地なく、今日ではかなりの数の屈折矯正手術が行われている。両眼視覚障害は成功した患者でも潜在的な脅威となる。屈折矯正手術後に発症した両眼視覚障害を紹介する。我々は、これらの症例から、屈折矯正手術前に十分な両眼視覚歴を調べることの必要性と評価の必要性を例証した。現在の標準化された術前検査では、十分な眼科的検査が術前に行われていないことはGodts(Godts,Tassignon,
& Gobin, 2004) らが報告しており、この症例報告の目的は術前に両眼視覚検査を調べることの重要性を指摘す
ることである。
7、屈折矯正手術:斜視の治療および原因(2011年 アメリカ)
Refractive surgery: a treatment for and a cause of
strabismus.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21537187
Minnal VR, Rosenberg JB.
ソース
眼科学科モンテフィオーレ医療センター、ブロンクス、ニューヨーク州10467、米国。
概要
レビューの目的:
この記事の目的は斜視の治療の手段として、または斜視と複視の潜在的な要因として屈折矯正手術をレビューすることである。
最近の知見:
多くの研究で、屈折矯正手術は特定のタイプの斜視、例えば調節性または部分的調節性内斜視などの補正に有効
であることが報告されている。不同視に関連する外斜視の研究ではそこまで良好な結果が出ていない。最近の研
究では、術前に顕性斜視が認められなかった患者でも、屈折矯正手術後に斜視と複視が発生する場合があることを示している。患者に術後の斜視と複視の増加リスクがあるかどうかを判断するため、適切な臨床試験とリスク層別化が不可欠である。
サマリー:
屈折矯正手術は調節性または部分的調節性内斜視の患者に対して有効である。屈折矯正手術を行う患者の潜在的なリスクファクターを明らかにするために完全な病歴と臨床検査がきわめて重要である。
指定されたリスクレベルに基づき、より高度な検査が保障されるだろう。
PMID:21537187[PubMed - indexed for MEDLINE]
c 2008 Board of regents of the University of Wisconsin System,
American Orthoptic Journal,
Volume 58, 2008, ISSN 0065-955X, E-ISSN
1553-4448
8、白内障と屈折手術後の成人患者における複視(2010年 アメリカ)
Gunton, Kammi Ba; Armstrong, Blairb
概要
レビューの目的:この記事の目的は白内障手術並びに屈折矯正手術後に発生する複視について報告することである。
最近の所見:球後麻酔を使用した白内障手術に続く眼位ずれの発生率は約7%となっている。この患者群における複視の範囲は0.23~0.98%の割合である。眼位ずれの発生率は局所麻酔での白内障手術では5%に減少し、複視の発生率は0.21%から0%にまで減少する。
小規模な症例郡の中でだが、レーシック後の複視については報告されていない。白内障手術およびレーシック手術後に発生する複視の原因には既存の斜視の代償、新たに発生した調節性内斜視、慢性疾患の同時発症、単眼複視などが含まれている。白内障手術のための球後麻酔後の複視の主な原因は、外眼筋不全麻痺/制限であり、この手順のタイプに固有のものである。局所麻酔での白内障手術やレーシックによる複視の発生の主要な原因は既存の斜視の代償である。
概要:既存の斜視の評価や詳細な履歴は屈折矯正手術後の予期しない複視の発生を低下させる。
c 2010 Lippincott Williams & Wilkins, Inc.
9、屈折矯正手術による両眼視障害-症例報告(2010年 ポーランド)
Klin Oczna. 2010;112(1-3):67-9.
[Refractive laser eye surgeryand binocular vision
disorders--case report].
[Article in Polish]
Zamojska E, Loba P, Archacka E, Broniarczyk-Loba
A.
20572509
[PubMed - indexed for MEDLINE]
レーザーによる屈折矯正手術は眼科学の発展途中にある。このタイプの手術には数値的な禁忌があるが、それは定義することが困難なものが多い。例えば、両眼視機能障害のように。我々は、患者に全く禁忌がなくても、屈折矯正前に視機能を正確に分析し、患者に十分な説明をせねばならなくなった。
症例報告:33才女性 術前:両眼近視(右目-5.25Dsph -0.75 Dcyl ax. 170; 左目: -5.0
Dsph)。斜視その他の両眼視機能障害歴なし。
術後:外斜位、わずかな上斜位、著しい輻輳不良による斜視
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これらを踏まえ、我々はレーシックの執刀医は当然屈折・両眼視・眼位といった視機能の基本機能に精通することが求められるべきであり、現状のように術後に「あなたの精神が術前からおかしかった」と執刀医から突き放されることがないように、術前術後の両眼視機能検査が行われるべきであると考えているのですが、その点どのようにお考えでしょうか?その予定はあるのでしょうか?
下記、安心レーシックネットワークに現状のところ掲載されているQ&Aを引用します。
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「レーシック難民」という人たちが、レーシックを受けたら
「物が二重に見える複視や斜視になった」と訴えていますが、
そのような合併症が起きる可能性はどのくらいあるのでしょうか?」
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「複視」とは物がダブって見えてしまうもので、片目でダブる「単眼複視」と、両目で見るとダブってしまう「両眼複視」に分けられます。片目でダブって見えるのは、主に乱視です。
両目でダブって見える場合は、同時に同じ方向を向けなくなる斜視が考えられます。斜視の多くは眼を動かすための筋肉のバランスの問題で起こります。LASIKで筋肉のバランスが崩れることは考えにくいです。眼鏡で見た目にカバーされて患者さんは気づいていないが手術前からあった可能性が考えられます。ただし、偶発的に、頭蓋内疾患(脳腫瘍など)を来し、それが起こる可能性はあります。
以下に斜視と近視にまつわる事例を述べますが、これもレーシック後に起こったとは考えにくいです。
① 内斜視と近視
内斜視に近視を合併している場合、近視を矯正することによって内斜視が顕在化することがあります。一方で、融像幅(像をひとつに結ぶことができる範囲)が広い場合には、近視を矯正すると両眼視(両目で立体的に物を見ること)がしやすくなり、眼位が改善することがあります。
② 斜位近視
間欠性外斜視(物を見ようとしない時には外斜しているが、見ようとすれば眼位を正しい位置にすることができるもの)の中には、眼位を保つための融像性輻輳(物をひとつに見ようとして目の位置を内側に向ける働き)に伴い過剰な調節(近くにピントを合わせようとする力)が働き、両眼視時に近視化がみられることがあります。これを斜位近視といいます。斜視を治せば近視は治ります。逆にそのまま近視を矯正してしまうと、結局遠視になって眼精疲労などの原因となってしまいます。
いずれにしても、術前にしっかりと検査を受け眼科専門医の診断を得ることが重要です。
名古屋アイクリニック 中村 友昭
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名古屋アイクリニックは「LASIKで筋肉のバランスが崩れることは考えにくいです。」と言い切ってしまっていますがまだ眼位異常について述べているだけマシなのかもしれません。
ただ名古屋アイクリニックでは術前の検査メニューの中に眼位検査がなかったと被害者の会の患者さんから伺っています。
安心レーシックネットワークの他の施設でも術前眼位検査を全ての希望者への必須項目としているところは今のところ見受けられないように思うのですが、今後実施予定などはあるのでしょうか?
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sex telefony (金曜日, 03 11月 2017 23:31)
dywdyk